旧「オヤジのフレンチ」

セルヴェル・ド・カニュ 絹織職人の脳みそ

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ご存知の方はご存知でしょうが、知らない人にとったら「なんのこっちゃ?」って感じですね。

けどご安心ください。キワモノじゃございません。脳みそって言ってますけど実際はフロマージュ・ブランというフレッシュチーズにワインヴィネガーやハーブなどいろいろ混ぜ物をしたものです。
この時期、きりっと冷やしたキールなんかと一緒に食すにはさっぱりしていて梅雨時のアペリティフにぴったりです。

それにしてもネーミングがイケてませんか?

ま、たしかにね。

けど、こういう表現ってフランス語にはゴマンとあってですね、「貧乏人のなんちゃら」ってのもたくさんありますよね。
茄子をきざんでアンチョビやらレモン汁やらを混ぜたものを「貧乏人のキャヴィア」というのはよく知られたところです。フランス人はあんまり直截的な言い方を好まないところがありまして、素晴らしい!と伝えるのにあえて逆説的にネガティヴな表現を使ってみたり、こりゃダメだと言う代わりに「良さが足りない」と言ったりするわけです。だから「もっともソフィスティックな言語」といわれるんですけど。

「貧乏人のキャヴィア」の含意は「キャヴィアのように希少でも高価でもないのにキャヴィアに引けを取らないほど美味しい」なのですよ。

サラマンジェにも「貧乏人のフォワグラ」ってのがありまして、これはもう開業以来9年もやってますが、以前ある著名なレストラン評論家()に紙媒体で「客に対して失礼」とこき下ろされたことがありました。こちらにはもちろんそんな意図はみじんもありませんけどね。

この婉曲な表現をeuphémismeウフェミスムというそうですが、そんなフランス語の「言葉のあや」とか料理の後ろにある文化なんかを評論家先生に理解されることを期待するほうが間違ってるんでしょ。おっとスミマセンまた毒吐きました。

この絹織り職人の脳みそも言わんとすることは「貧乏人の・・・」とまったく同じです。絹織物はかつてリヨンの主要産業でありましたから、当然職人もたくさんいました。そのうちの少し裕福になった人たち(※ここ大事なとこね)が、美味として知られる仔羊の脳みそに見立てたこのチーズ料理を好んで食べたといわれております。

で、このような軽くて簡単な料理をリヨネ地方では“Mâchonsマション”といいましてセルヴェル・ド・カニュなんかはブションでは定番のおつまみなのであります。

さて。

虎の門時代から言われ続けてきたことですけど、なんかサラマンジェは入りにくいオーラが出てるんですって。ガッツリ食べないと怒られそうだとか。全然そんなことないんですけど。しかも銀座に移ってからはエレベーター降りるとそこはもうすでに店内らしいよってのが、初めての人には「ちょっと様子をうかがってから・・・」ということができなくてエレベーターのボタンを押すのをためらうんだそうですよ。

なので、初めての人にも気軽に入っていただけるように軽いおつまみ的なものをいろいろ用意しました。ソシソン・リヨネ(ピスタチオ入りリヨン風ソーセージ)とかタブリエ ド サプール(ハチノスのパン粉焼き)とか。(上の「メニュー」から「今日のスポットとおつまみメニュー」をご覧ください)

最初はお試しに軽くおつまみだけ・・・そんなかたも大歓迎ですよ。
あとね、残業で遅くなっちゃったって時に軽く一杯ひっかけて帰ろうかって時にもぜひお使いください。

以上よろしくです。

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