またまたバヴェットネタですが、今回で「決定版」としたいと思います。
以前上げたエントリに対して、和名、仏語名、英語名の対比を示さないと判りにくいというご意見をいただいておりまして、もっと早くに上げるつもりでいたんですが、このところ何かと忙しくて遅くなってしまい申し訳ございませんです。
バヴェットはフランクか?というコメントもいただいておりましたので、遅ればせながらバヴェットとハラミ、ついでにフランクの違いについてわかりやす~い資料なども交えながらご説明申しあげるしだいです。
これはサラマンジェで使っている肉。ケータイで撮ったので写真が悪くて申し訳ありませんが、「カイノミ」といいます。
これを掃除するとこうなります。
では、これと同じものをここから探してください。
どうでしょうか。一番下にあるBavette aloyau entièreと同じものですね?間違いないですね?
ちなみにこちらはLarousse gastronomiqueからスキャンしたものです。下のほうにBavette d’aloyau(12)が見えます。これには著作権が生きてますから、数日で削除しますので必要なかたは保存してください。
バヴェットは日本では「カイノミ」と呼ばれている部位のことであります。
前回申し上げた通り、バヴェットには~d’aloyau(ステーキ用)と、~flanchet(à pot-au-feu=煮込み用)がありますが、綴りからもわかるとおり、flanchetは英語圏でいうflankです。フランス版ウィキペディアほか複数のサイトでbavette=flankという記述がみられますが、~d’aloyauと~flanchetを混同あるいはひとくくりにしていると思われるもので正確とは言えませんね。
牛フィレ肉を扱う料理人ならご存知と思いますが、têteのカブリの横に少し(和牛なら200gくらいも)付いている肉がBavette d’aloyauの切れっ端です。
では和名と英語名を対応させた資料も。
こちらは「財団法人 食品流通構造改善促進機構」という農水省の外郭団体が公表しているものです。
89pと93pにカイノミ、ハラミがそれぞれ見出せます。
カイノミは英語圏ではフラップミート、サガリがハンギングテンダー、ハラミはアウトサイドスカートであることがわかりました。フランクは和名ではササミということになっています。
ササミはステーキにするとやはりちょっと硬いですよね。一方カイノミは柔らかくて非常においしい部位です。ステーキにするべき部位です。
焼肉屋さんでもお目にかかれるのは稀な国産牛のカイノミが、サラマンジェではドカンと250gですからねぇ、食うしかないっしょ。
というわけで、元祖オヤジシェフももうハラミをバヴェットと表記するのはやめてくださいね。お願いしますよ。
こんにちは、初めまして
国分と申します。スーパーで精肉を担当している50男です。夏頃顧客リストに載る予定のものです。わかり易い説明本当にありがとうございます。
しかしなんで本来正肉である貝の身と副生物である横隔膜周辺部位と取り違えて知識として流通したんでしょうね?
値段でしょうかね・・・ちなみに貝の身ですが、カルビとして商品化しています。はんざいですね。業界では、変色が早い部位として、敬遠される傾向にあります。
それではお会いできるのを楽しみにしつつ
国分和弘拝
コメントをいただきありがとうございます。
一般的にカルビはバラからとる、という認識が正しければさほど間違っていないようにも思いますがどうなんでしょうか?(日本ではカイノミはともバラの一部とされていると理解しております)
なにはともあれご来店をお待ちしております。
いつも楽しく、また勉強させていただきながら拝聴させていただいています
恥ずかしながらバヴェット=ハンギングテンダーと勘違いしていた一人です
更に当店はメニューに“カイノミ“を常時置いていたのです シェフが再三訴えていた“幻の”バヴェットが実は当店にあったなんで・・・ちょっと心躍る気持ちです
地方在住なので中々都合がつきませんがいつか伺うのがささやかな目標です
その時はぜひよろしくお願いいたします
すいません 拝聴ではないですね
拝見させていただいてます
ホームページ拝見しました。
お店を維持していくのは大変でもあり、また楽しくもあり。頑張ってください。
深いい話ですね。そして、めちゃうまそう。また近日中に行かせていただきます。