子供たちが夏休みに入ったので、毎日忙しくて疲れているお父さんたちにはつらい日々が続きそうです。
たまの休みはゆっくりしたいところですが、やれ海だ、山だ、とスケジュールはぎっしり詰まっております。
特に夏の一大イベント、キャンプでのバーベキューは父親としての威厳がかかっておりますから手を抜くわけにはまいりません。
これをうまくこなさないと家庭内でのオヤジの立場はますますビミョーになりかねませんから、気合を入れて頑張りましょう。
でもダイジョーブ。かのブリヤ・サヴァランも言っております。「人は生まれながらの焼肉職人だ」と。(※1)
肉や魚を串にさして火であぶるのは、人類が火を手に入れて最初に発明した「料理」なわけですから、誰でもできる、と。
もっとも原始的な調理法なのに、炭火で焼くとなぜかおいしいですよね。私もヤキトリ、炉端焼き、大好きですよ。けどね、フランス料理店がそれをやることには私は少なからず抵抗があります。だって、結局のところ「素材勝負」の料理じゃないですか。
もちろん火入れの技術ってのはありますし、丸のままの肉を焼くのはプロじゃなきゃ無理でしょう。われらの大先輩、オーギュスト・エスコフィエも、件の名言に対して「われわれはそんなことは言わない。大いなる観察力と少しの適性なくしてはなれない」(※2)と言っております。
言い方を変えれば「少しの適性」があって、切り身の肉を焼くだけなら、そして素材さえよければ大概おいしくなるってことです。ならばそんなのはアウトドア好きのお父さんに任せて、料理人はやっぱり仕事をするべきだと思うのですがどうでしょう。
ある地方新聞の記者さんから取材を受けたことがありますが、面と向かって「一番うまい料理は炭火焼だと思う」と言われたことがあります。悪気はないんでしょうがね、私は「バカモン!」と叱りつけたい衝動に駆られましたよ。料理人にそれは言わんといてくださいな。
常ご批判申し上げておりますが、ブランド食材頼りの料理に私は魅力を感じないのです。
というわけで、切羽詰まったお父さんたちにバーベキューの極意を伝授するエントリと思われたかたにはお詫びを申し上げます。ご期待に添えず申し訳ありませんが、ご健闘を祈っておりますよ。がんばってください。
※1.タイトルをこう訳してみましたが、もうちょっと気の利いた訳にならないかなぁ。ウェブで探してみても「焼肉師」とか「焼肉屋」とかさえないのばっかり。日本ではおおっぴらに肉食ができなかったせいだろうか?これに限らずフランス語の料理用語には適当な日本語がないものが多くて困ります。
※2.お持ちのかたは「エスコフィエ フランス料理」(柴田書店)p1028をご参照いただきたい。だいぶニュアンスが違いますが、私にはこれが正しいかどうかが解りません。
先日友人宅でバーベキューしました。
炭火焼美味しいですね^^
焼肉のタレより、塩を付けて食べるのが美味でした。
話は飛んじゃいますが・・・
こんな事お聞きするのも恥ずかしいのですが
フレンチを食する際に、ソースをパンに付けて食べるのはマナー違反ですか?
「恥ずかしいから止めてよ!」と言われ・・;
ソース美味しいのに~と思いながら諦めた私でした。
面白いテーマなので次のエントリのネタにします。
しばしお待ちを。
ブログアップを楽しみにお待ちしています。
私は 「やる派」
そこがあぴしうすであれ
れせぞんであれ
ただし手じゃなくナイフとフォークで
はじめまして。
いつも覗いておりますが、話題に釣られてコメントしてしまいます。
パンでお皿の拭き掃除をする人間としては、次のエントリがとっても楽しみです。お待ちしています。
日本駐在イギリス人です。パンでソースを食べるのは、しない派です。イギリス料理はいわゆるおいしいものが少なくて、ソースはビーフのグレービーぐらいです。だけど肉と豆やポテトにからませて、ソースも全部食べます。パンが欲しい人だけ取るようにバスケットにまとめてあるので、パンをディナーで食べるのはスープが出るときぐらいです。日本に来てフレンチも和食もおいしいので驚きました。オヤジシェフの店にも行きました。おいしかったです。鴨を食べました。パンは確かバスケットに入っていたので僕は食べなかったですが、パンがおいしいと日本人仲間がいっていた。今度はパン食べます。
ニホンゴ、オジョウズデスネ。
次のエントリはもう少しお待ちください。
何かを調べていてこのブログに行き当たり、おもしろくて感激しました。
質問をひとつ。
人は生まれながらの焼肉職人だ=誰でもできる、の件。
本で確認していませんが、ヒトは誰でも料理人になれるが、焼き肉職人は生まれつき、=うまく肉が焼けるのは生まれつきの技量、という風に覚えていました。
正反対ですね。
肉を焼くのは誰でもできるといえばできますが、ビヤン・キュイできるのはセンス?
どうなんでしょう。
ビヤン・キュイできるのは、といったら、料理人だって誰でもというわけには。
別につきつめなくていいんですが、ブリヤ・サバランさんが言っていたことはどうだったか、ということで。
おっしゃる通りです。
別のかたからも同じご指摘をいただいております。
おそらくその解釈が正しいだろうと思いますが、警句というものは幾通りにも解釈できるものですから、あえて一つに限定することはしないでおきます。