またまた見つけてしまいました。
困ったもんです。
つい最近発売になったプロ向けの料理書を見ていましたら、ある超有名なシェフの料理が紹介されていました。業界ではもう大御所といってよいかたであります。
御大は肉料理のスペシャリストでありますから、「技術講座」として牛肉の料理を数点提供しておりまして、その中にハラミを使った料理がありました。
またか・・・って感じですが、この料理のネーミングが「バベットステーキ Bavette aux échalotes」(ママ)なんですよ。
皆様ご存知の通りバヴェットはサラマンジェのスペシャリテでもございますからねぇ、アタシとしちゃ「やさしくスルー」はできんのです。
ハラミとサガリがどの部位を指すのかは地方によって逆転していたり、「サガリ」という言葉がない地方もありますので、この本ではご親切に図解までつけて部位の解説をしております。
それによりますとハラミは横隔膜の付け根にある筋肉質の部分を指しています。そして副生物(内蔵類)であることも明記されています。
そうなんです。ハラミもサガリも内臓肉なんです。
バヴェットも腹腔内に面していますから、「ハラミ」というあいまいな表現を否定できないところがこの誤解の根を深くしているんですが、バヴェットは内臓肉じゃありません。
そもそも料理人がメニューを書くときに正確を期そうという気持ちが少しでもあれば辞書くらいは引くでしょ?
バヴェットを辞書で引くと、「フィレ肉の横にある平たい肉。ステーキ用 (Bavette à bifteck=~d’aloyau)と煮込み用(Bavette à pot-au-feu)がある」というようなことが書いてあるはずです(辞書によっては誤解しているものもありますが)。そしてハラミとサガリはそれぞれ仏語でHampe, Ongletといいます。
ちょっと調べればバヴェットと内臓肉のハラミは別物では?という疑問を抱くと思うんですけどねぇ。
ハラミの料理にBavetteと名前を付けるシェフは、ひょっとしたらアロワイヨの意味も知らんのじゃないかしらん、と疑念を持たれても仕方ありませんな。
もう一度言います。
バヴェットはハラミじゃありません。
たとえ大御所がなんと言おうと、「バヴェット=ハラミ」と表記してる辞書があろうと、それらが間違っていて、私が、私一人が正しいんです。
とね、全然有名シェフじゃない私がこんなアクセスの少ないブログで吠えまくっても、御大が一つ料理を発表しちゃうだけでまた誤解が全国に広まるんですよ。
あぁ、無力感。
願わくば、専門書なんですから編集さんにもっと知識を持っていただきたいんです。料理人が言うことなんて当てにならんのです。それは無理なお願いでしょうか?
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あぁ、言い過ぎました
しかし誰かが正さなければなりません
声を大にして頑張っていただきたいと思います
そして、その検証のために我が舌で楽しみに行かせていただきます
ご無沙汰しております。
私がこちらのブログにたどりついたのは、bavette、ongletなどについて検索したときなので、シェフがここで書くことは十分に意味があると思いますよ。
肉の部位の名前が日本語でも理解できてないというのが、問題の根源かもしれません。
Wikiしてみると、英語圏ではフランク(flank)という部位ですね。若かりし頃、貧乏学生にも買えるステーキ肉でした。軽く炙って、安ワインとカリフォルニア米の夕食というのも懐かしい味です。日本ではソトバラの後ろの方とでもいうのでしょうか。
メキシコ料理では(おそらく繊維に垂直に)細長く棒状に切って、エンチラーダなどの中身にするそうです。道理でなかなか噛み切れなかった訳だ!この部位はあまり加熱しない方がいいようですね。
牛肉の部位は国によってカットの仕方が違うのでわかりにくいですね。
もう一発エントリを上げますので少々お待ち下さい。