イギリス人はフランス人のカエル喰いをよく嘲笑のネタにしているようでありますが、われらがエスコフィエが、その報復のために正体を伏せたカエル料理をイギリス人にふるまって絶賛されたというお話は有名なところです。
フランスのカエルといえば、リヨンの北東地域に広がるドンブという湿地帯がとくに有名でございまして、いろいろなガイドブックにもGrenouille de la Dombesというのがよく出てきます。私もリヨンに住んでいたころ、このカエルを食べるためにだけドンブまで出かけたことがあります。
バターでソテしてパセリをぶっかけたのがてんこ盛りになって出てきます。当然ドンブのカエルだと思っておりました・・・。
リヨンのレ・アールのカエル 48€/kgはお安くない・・・。
ところが、
昨日、食材の輸入業者さんからある書類を手渡されました。
それによると、フランスではフランスで捕獲されたカエルを販売することは厳しく禁じられているというのです。現在フランスで流通しているものは主にトルコ、エジプトから生きたまま輸入して、それを加工して(さばいて)販売しているということです。
この法律は資源保護のために少なくとも30年以上前に施行されたものだそうです。それでもカエルの生息数は減少の一途だということで罰則も厳しく、もしレストランが不正な表示をしたり、産地を確認できないカエルを売ったりすると、罰金はもちろん、営業停止の処分もあるということです。
養殖すりゃあいいのに、とも思いますが、できないんだそうです。養殖池では餌が不足してうまくいかないんだとか(カエルの餌が何かは皆さんのためにここには書きません)。輸入物もすべて天然だそうです。
参考→http://www.aujardin.info/fiches/grenouille-verte.php
ヤバイ・・・
サラマンジェでもフランスから空輸で取り寄せたカエルの料理を提供しております。メニュー表記は「ドンブ産カエル・・・」です。
リサーチ不足だったことを恥じるしかありません。フランスの当局から踏み込まれて営業停止は困るのでもうメニューの表記は変えました。
そんなわけで、これまでドンブ産と信じて食べた(私もですが)かたにはお詫びを申し上げます。サラマンジェのカエルはドンブのものではありませんでした。
そもそも、現在、ドンブにはカエルの屠殺と加工を行っている施設はなく、ソーヌ・エ・ロワール県(サン・テティエンヌ周辺)だということです。
同業のみなさまもお気を付け下さいませ。