旧「オヤジのフレンチ」

食肉流通業界のモラルも問いたいけれど

ユッケによる食中毒はまだまだ拡大しそうですな。

お子さんを亡くした親御さんを非難するのは本意ではありませんが、われわれ飲食に携わる人間や医療関係者なら、子供に生肉を食べさせるのは避けたほうがよいというのは常識として知っています。
食品に100%の安全はないのですよ。食中毒発生のメカニズムとか予防のための知識について妊娠・出産の過程でそういった啓蒙というか教育ってされないんですかね?
とはいっても飲食店でメニューに載ってるものは安全だと思うのも無理からぬことではありますが、そもそも「生食用」の牛肉なんぞ存在しないということはわれわれは以前から知っています。件の焼肉チェーンの社長だって当然ご存知のはずだと思うんですが、どうもそうじゃなかったらしいですな。自分のところの衛生管理がまずかったことを棚に上げて「食べていけないなら法律で禁止してくれ」などと賜わってます。もっとも流通段階で既に汚染されていたという報道もされていますから、原因の究明はしっかりされなければなりませんが、この焼肉店のずさんな衛生管理は明らかですからどうあがいても免責されることにはなりませんよ。

では、生食用じゃないものをなんで売るんだって話になりますが、衛生管理さえちゃんと行っていれば食中毒に至ることはないんです。大腸菌が出た今回の事例は論外ですが、一般細菌やカビの胞子なんかそこらじゅうに漂ってます。当然食品にだって付きますよ。感受性にもよりますが、菌数が許容できるレヴェルを超えなければ発症しません。今回は大人のかたも亡くなる事態ですから相当な菌数だったと思われます。まして子供なら…。放射能に怯えるのと同じくらいに生肉を子供に与えることには慎重になってくださいませ。

結局のところ大事なことは「正しい知識」を身につけることに尽きますな。

ユッケがそんなに人気のあるメニューだったということは不覚にも私は知りませんでしたが、これでほかの店でもユッケやタルタルステーキは売れなくなるでしょう。けど、それは風評被害とは言いませんよ。だってそもそも危険なんですから。

私の立場なら当然タルタルステーキに言及しないわけにいかないでしょうか。
フランス料理にも「ステーキ」といいながら焼かない(※)ユッケと同じような生肉の料理があります。ウスターソースやマスタードで味付けをすること以外はほとんどユッケと同じです。
生牡蠣やタルタルステーキは普段私は食べませんが、先だってフランスへ行った時はどちらも食べました。食品のリスクは人口密度とも関係しますのでフランスなら何となく安全かなぁという漠然とした感覚で説明できるほどの根拠はないんですが、日本ではこれらのものを食べるにはかなりの覚悟をしなきゃなりません。というか繰り返しですが私は食べません。サラマンジェでメニューに載ることもありません。危ないんですよ。ホントに。そんなリスクをとってまで提供したいと思う料理でもないし。

一般のかたは食品リスクに対してあまりに無知なかたが多い。被害に遭われたかたには本当に申し訳ないんですが、啓蒙が促進される機会になったことは認めざるを得ませんです。残念なことではありますけど。

因みに「タルタルステーキ」の語源はタタール(日本語では韃靼)からきているという説があります。中央アジアの民族はヨーロッパの人々からは野蛮人と思われておりまして、生肉を食べるという野蛮に見える料理にこの名がつけられたそうです。(フランス食の事典)
美食か?はたまた悪食か。

(※)これについては盟友「まきもの屋の生活と意見」をご覧ください。

chef

12 Responses to “食肉流通業界のモラルも問いたいけれど”

  1. 2011年5月5日 at 21:20 # 返信

    それでも自己責任でタルタルステーキ食べたくなります(笑)

  2. オヤジシェフ 2011年5月5日 at 23:09 # 返信

    そういえば「医療関係者」でしたね。
    桜さんはおそらく大丈夫ですよ。ガンガン食べてください。そう、自己責任で。

  3. 凌駕D1 2011年5月8日 at 09:04 # 返信

    自己責任で肉を生食する大人の自由は尊重しますが、私も肉は生食しません。シェフの仰る通り、バクテリアや細菌がうようよしているのに食中毒のリスクを冒してまで食べたいものとは思えないからです。
    生で食べる人は「生で食べれるくらい新鮮!!」と言いたがりますが・・・生食は危ないのでやめたほうが良いと思います。
    亡くなられたお子さんは気の毒ですが、子供に生肉食べさせたり、生肉に触れた箸、皿に加熱したものを取り分けるのもご法度。よくよく気を付けていただきたいものです。
    よくサシの入った牛肉を生食して「トロみたい」なんて言ってますが、魚と牛では脂の融点違うから同じようには口の中で溶けませんよね。肉の味は加熱しないとわからないのではないですか?生食したい人には聞いてみたい。その肉は「生で食べることが一番おいしいのですか?」「新鮮なものを食べている感覚がうれしいのではありませんか?」
    どんなに衛生管理に努めていても食品を無菌状態を保つことは物理的に不可能です。でも加熱すれば多少悪くなっていても問題ないので、きちんと加熱調理しましょう。

  4. 凌駕D1 2011年5月8日 at 10:01 # 返信

    上の文章細菌とバクテリアは同じですね…失礼しました。

  5. 戸田 2011年5月9日 at 22:23 # 返信

    はじめまして。初めてコメントさせていただきます。
    生肉を子に食べさせる親、非常識ですよね。ありえないですよね。
    シェフのおっしゃることは当然です。私も、子をもつ親として先日までそう思ってました。
    でも本当にそうだったんでしょうか。今、わかりません。
    男の子、久しぶりの焼き肉だったそうです。
    下の子が生まれて金網が危ない、なかなか焼き肉には行けなかった。
    その日はお母さんが下の子を見ていたから、お父さんとその子は焼き肉に出かけたそうです。
    下の子が生まれたら、お兄ちゃんお姉ちゃんて、我慢の連続なんですよね。
    今日はお兄ちゃんだけを焼き肉に。親御さんの気持ちわかるんですよ。。
    お父さんの食べてるユッケ、一口ちょうだい!せがまれたそうです。
    ううん?・・仕方ないなぁ、って思ったでしょうね、子を持つ親なら生肉が危ないなんてね、普通知ってます。
    どの育児本見たって刺身でさえ3歳から。ってうるさいんですから。離乳食の本だって本当にびっくりするくらい加熱、加熱して、て書いてある。
    お父さんは仕方ない、じゃあ味見であげた、たったの一口。それで亡くなったんですね。
    ばか安チェーン店だって。かたや職人のプライド、素人にはわからない何かさえお皿に籠ったレストランだって。
    受け手にとったら「その人達なりの。なにか特別な気持ちを込めて、今座ってるテーブル。置かれたお皿」には変わりないとおもうんです。
    あの社長さんは、どうだったでしょうね。
    まとまりがなくなりました。すみません。私自身も、今子育て中の身で、あと少し、落ち着いたら。あれれ、あと数か月したら?本当に落ち着くかもしれない。
    そうしたらサラマンジェに、と思い続け、結局機が迎えられぬまま、せめてシェフのブログを一年越しで拝見している者です。
    近々伺える日を心待ちに、させてください。では。乱文失礼しました。

  6. オヤジシェフ 2011年5月10日 at 13:57 # 返信

    ご意見をお寄せいただきありがとうございます。さらに大変に興味深いお話をお聞かせいただき、私も考えさせられました。
    「食の安全」は何よりも最優先されなければならないことですが、リスク問題とは別に子供に何を食べさせるか、について考えるべきと私は思っています。

  7. luckysurf 2011年5月10日 at 16:59 # 返信

    8歳と5歳の焼肉好きの子を持つ親父です。大変勉強になりました。何の理屈も根拠もなく、新鮮な肉はむしろ生がいいと思いこんでいました。おっしゃる通りリスクを最低限にしつつ且つ何を食べさせるか真剣に考えたいと思います。またブログでご教授お願いします!

  8. 三世(飲食店勤務) 2011年5月24日 at 01:56 # 返信

    ・われわれ飲食に携わる人間や医療関係者なら、子供に生肉を食べさせるのは避けたほうがよいというのは常識
    ・「生食用」の牛肉なんぞ存在しないということはわれわれは以前から知っています
    ・先だってフランスへ行った時はどちらも食べました。食品のリスクは人口密度とも関係しますのでフランスなら
     何 と な く 安 全 か な ぁ と い う 漠 然 と し た 感 覚 で 説 明 で き る ほ ど の 根 拠 は な い ん で す が
    ・結局のところ大事なことは「正しい知識」を身につけることに尽きますな
    ・一般のかたは食品リスクに対してあまりに無知なかたが多い
    いったいお前は何が言いたいんだ?
    一般の客は、「飲食店でメニューに載ってるものは安全だと思う」って 漠 然 と し た 信頼で食ってるんだよ。あんたが言うとおりな
    それを教育がない? ざけんなゴラ
    飲食を仕事にしてて飲食の知識を持つのは当たり前だろう?
    そうじゃない人間が、30年昔に比べ百倍もの食材があふれるこの時代で(流通的な意味も含め)、様々な食材への知識をしっかり持てるわけがないだろうが
    言うに事欠いて「私の店じゃ出してません」、「あいつは断罪されるべき」、「客も頭悪すぎ」じゃねーだろ!
    事件がおきてから偉そうに口上たれるぐらいなら、そもそもこんなことが起きないよう、飲食店を代表して業者なり国なりに意見すべきじゃなかったのか?
    自分がよければそれでいいのか?
    これが1消費者である俺の意見だ

  9. オヤジシェフ 2011年5月24日 at 03:12 # 返信

    反論はしません。
    表現方法には少々問題がありますが、内容は単なる誹謗ではないようなのでこのままにしておきます(削除はしません)。

  10. 三世(飲食店勤務j) 2011年5月25日 at 04:31 # 返信

    反論ないんだ・・・
    結局事件がおきるまで何かが起きるかもしれないって
    「判ってる」っていってるのに
     誰 か が 死 ぬ ま で
    何も言わないんだ
    これからも言わないんだ?
    ただひたすら 事件を起こした人間をm9して
    亡くなった人間の関係者や家族を
    「無知過ぎ」
    そう嘲って
    あんた日本を代表したこともある飲食業の人間でしょ・・・
    「僕はシラナーイ あ 事件オキータ! ほら僕が想ってたトーリー! ね?だからみんな僕のお店にキテー! うん今まで何も言わなかったけどー だって聴かれなかったモーン!」
    これがそんな飲食業の人間の姿勢だと思うと、
    所詮は自分の店が儲かればいいって拝金主義を見ると、
    「笑顔を見れて給料までもらえるのが客商売!やればやるほど幸せなのが客商売!」って昔想ってたことを思い出すと
    あまりにも悲しい
    きっと俺は間違ったことを言ってるんだろうな。君らからすれば
    でも、それでも
    悲しいよ

  11. オヤジシェフ 2011年5月25日 at 11:55 # 返信

    前回も申し上げましたが、あなたの表現方法は社会性を欠いています。「所詮は自分の店が儲かればいいって拝金主義」などは明らかに誹謗中傷であり、一般的には削除の対象になるものです。
    私と議論をしたいのであればまずご自身の態度を改めるべきと思いますよ。
    そのうえで今後もこのような書き込みを続けるのであれば次は削除します。

  12. aya 2012年4月11日 at 05:59 # 返信

    一般的にはフランスの方が衛生管理はゆるいだろーに

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