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料理人が自分の店を持とうとする一番の動機って、おそらく「自分の料理を食べてもらいたい」というものだと思います。もちろん私もそう考えて独立しました。料理人にとってお金儲けは二の次、三の次なんです。自分が美味しいと思うもの、「正しい」と思えるもので商売が成り立つならこんなに幸せなことはない。

けどね、自分の店を持ってみると料理を作ってる時間より、その他の雑務をしてる時間のほうが圧倒的に多いです。幸いいいスタッフに恵まれて店は何とか回ってますけど、自分が調理場に立って仕事をしてるほうが気分的にはよほど楽だっていうのはありますね。いずれご紹介しますけど、とってもいい相方なんで、そのうち店のマネジメントは彼に任せて、私は一料理人に戻りたいな、と考えています。

料理人は料理ができればそれでいいっていう時代じゃない。調理の技術もさることながら、「経営」もやはり若いうちに経験しておいたほうが絶対いいんです。歳とって頭が堅くなると、視野の狭い「料理人バカ」になっちゃう人もいますから。(「俺はそういう生き方が好きなんダッ!」って人にはソレはソレでいいんですけど…。)

私がこの世界に入ったころ(四半世紀前)、街には雪駄履きで片手に競馬新聞、首にタオル巻いて耳には赤鉛筆っていうスタイルをよく見かけました。若かった私は「こういう連中がいるから料理人の社会的地位が上がらないだ。(だから給料安いんダヨッ!)」と思っていました。今でもたまにそういう人はいますが、やはり嫌悪感を覚えます。

競馬やパチンコにウツツを抜かしてるような「チンピラ」が一人前の料理人になれるわけがない。「職人」の世界は「ヤクザ」な世界ですが、チンピラじゃない「本職のヤクザ」の自己管理は、成績を残せないとすぐ仕事がなくなるプロスポーツの世界と同じほどに厳しいものです。

飛躍してるように聞こえるかもしれませんが、だからランチはやらないんです。ランチをやるとどうしても時間が長くなる。(街場のレストランは一日少なくとも14時間勤務は当たり前です。もちろん残業手当なんかありません)。睡眠時間6時間以外は飯食ってるか働いてる、なんてのはとても人間的とはいえないでしょ? 

人並みの勤務時間で、人並みの生活ができるようにならなければ(人材難で)職人も育たない。どんどんレストランの質が落ちてゆくことになります。

潰したくないんですよ。夢を持ってる若い人を。調理師学校出たらすぐ料理人になれると思ってる甘い子も多いことも事実ですけど、しっかりやってる子にはしっかり評価してあげられる体制というか環境を整えてあげたいなと思うんです。少なくとも私はそうでありたいと思っている。

お客さんもそういう意識を持ってくれるような「レストラン文化」が根付くことを願っています。
今日はちょっと酔ってるから理屈っぽくて…。

グルメランキングもメンドーだからヤメッ。昨日のを押して。

4件のフィードバック

  1. 私は料理人ではなく、レストラン経営者ですが、とても耳の痛い言葉です。
    職人さんは、多くの能力が必要な割には、給料が安いんですよね。労働時間も本当に長いし…私のお店で働いている料理人やサーヴィスの人にも、早く人並の生活をしてもらえるよう、経営者はもっと努力しなければならないと思っています。
    しかし、こうした世の中の状況自体を改善しないと、どんな業界でも職人になる人はいなくなってしまいますよね?!もの作りの楽しさだけでは、職人は生きていけない。
    フランス料理をはじめ、文化を大切にする方々、『職人を守る』ということを考えてみませんか?

  2. あ、ごめんなさい、ちゃんと書いてありましたね。これなら仕事帰りによれます。たのしみです。

  3. 同業のかたからのコメントはとても励みになります。訳のわからないヨッパライシェフのたわごとに付き合っていただいて申し訳なく思います。
    レストランを経営していて、料理人の生活レベル改善に多少なりとも心を砕いてくださるなら、ご自身の店名を公表してモデルケースになってはいただけませんか?
    飲食店にとって「顧客ニーズの吸い上げ」は大事なことですが、料理人や経営者が身を削るようにして働かなければ成り立たないなんてどうかしてる。タッグを組みましょうよ。私にやれることならやります。メールで連絡ください。

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