旧「オヤジのフレンチ」

ステーキの「コスパ」を考えてみる

まあ想定内ではあるんですが。

ランチ営業を始めてみますと某口コミサイトの書き込みはランチのレヴューばっかりになりましたね。多くはバヴェットについてのものですが、ステーキとしては他店と比べて「コスパ」がよろしくないんだそうな。勉強になります。

他店といえば。
ランチ開始とほぼ時を同じくしてすぐご近所にステーキをウリにするお店ができましてね、パフォーマンスはどうなのか知りませんが、コストのほうはとにかくお安いってことで行列ができるほどの大繁盛でございます。うらやましい…けど、安さをウリにする店と勝負してもねぇ…などとつらつら考えていたところに、お世話になってるマックス先生からTel 。先生曰く「安すぎんだよ。サラマンジェはそんな値段でやっちゃダメ」

ですよねえ♡

以前、「単価が低くなるほど客の要求はシビアになる」ということを宇宙の真理を発見したかの如くに発言したら、マックス先生に「そんなの当たり前」と一蹴されちゃったワタクシでございますが、どうやらそれは例の看板についての考察に見るように一般的な「知見」のようですね。

てなわけでサラマンジェはクオリティで勝負だっ。
さっそく肉屋さんに掛け合ってみましたらこんなものを薦められました。

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すばらしいサシですね。しかも見た目にたがわずウマイ。いや、ウマすぎる。お値段もぜんぜん高くないしね。
これなら低単価ステーキチェーンとだって勝負できるわ。「安くておいしい」を正義と信じるコスパ重視のグルメ諸兄もきっと納得なんじゃない?

けれど、残念ながらこの肉は使わないことにしました。だってウマすぎるんだもん。
安い肉なのにこのウマすぎるからくりは酵素とうま味調味料のなせる業なんですな。赤身のオージービーフに和牛の脂を注入したものでインジェクションミートと呼ばれているものです。

肉の味を決めるのは脂であると言われていますから、和牛の脂を注入すればオージーでも和牛のような味が再現できるわけです。脂を注入すると言っても固体のままじゃできないので水に溶かして乳化させるのですが、その時に乳化剤やうま味調味料、その他いろんな添加物を一緒に打ち込むのです。

添加物の話は今回は横に置いとくとして、この技術自体は私は素晴らしいものだと思います。フランス料理ではピケといって脂肪分の少ない仔牛肉や豚肉に脂身を打ち込むことは大昔から伝えられてきた技法です。それがこんなふうにできちゃうんですから、ニッポンの技術ってすごいなあ、と心底感心するのですよ。なのにウマすぎるから使わないってのは理に叶ってませんですね。

使わない本当の理由は別のことです。こちらをご覧ください。→消費者庁通達

食中毒も出てますね。しっかり火を通せば問題はないんですが、そんなことしたらステーキとしては商品価値ゼロでしょ。

ま、これも想定内ですけどランチののパフォーマンス向上は別の方向で考えることにします。

さて、このような加工肉は今や広く流通しておりまして、成型肉のサイコロステーキなんかスーパーでも普通に売ってますね。私は食べたことないんですが、聞くところによると相当おいしいんでしょ? なんでもお子さんたちには特に大人気なんだとか。けどね、気を付けてください。添加物てんこ盛りって以前に加熱不足による食中毒リスクはとっても高いですから。あのユッケ事件を持ち出すまでもなく、特に小さいお子さんに与えるときにはしっかり加熱してくださいね。よろしくお願いします。

以上、おっさんのおせっかいでした。

※うちのご近所にできた商売敵のステーキ屋さんが加工肉を使っているというような「風説の流布」を企図するものではありません。誤解なきようお願いします。

chef
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