旧「オヤジのフレンチ」

「自然派ワイン」のお話

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記事を楽しみにしてくださっている皆様、大変長らくのお待たせで恐縮でございます。
なんだかんだと忙しくて…。

さて、唐突ですが、今日は久しぶりにワインのネタでもやってみましょうか。

もうだいぶ以前から書きたかったことではありますが、ある種のワインに対して信仰にも似た思い入れをお持ちの方々から不興を買うのは間違いないし、盛り上がりを見せてるマーケットに水を差すようなことを言うのも大人げないと思っておりましたものですから…。

けどもういいでしょう。
何のことかと申しますと、いわゆる「自然派ワイン」というやつです。
このところ消費者の皆さんの熱もどうやら冷めてきたように思われますがどうでしょうか?

ひところ、雨後のタケノコのようにアチコチに出現したワイン・バーの多くが「自然派ワイン」をウリにしておりました。私も何度かそういうお店に行ったことがありますが、最近はトンと行かなくなりましたな。どうしてかって?皆さんと同じ理由ですよ。

まだサラマンジェがヒマだったころ、自分でワインを作りました。
このブログの最初のほうのエントリを見ていただければその顛末はご覧いただけます。
出来たての手作りワインは(どの段階で「出来たて」なのかは微妙ですが)フレッシュで自分でもびっくりするくらいおいしかったんですが、当然酸化防止剤なんか入れませんから、出来たてのその瞬間から酸化が始まるのですよ。そして3週間もすると甘くないポルトのようになります。「う~ん…」ってカンジ。

そんな味がするんですよ、自然派ワインって。
そうです、確かに自然なワインなんです。けど、カネ出して飲む気にならんのです。

いや、言葉が足りませんでした。
「自然派ワイン」のすべてがマズイと言ってるわけではありません。おいしいワインはたくさんあります。ときに酸化したワインがあるということなんです。

「自然派ワイン」の定義が何であるか私は実はよく知らないんですが、無(低)農薬=有機栽培であることは確かに安心だし、その有機物が出来上がるワインの味に影響を与えることは私も理解します。けど、それと酸化防止剤としての添加物を忌避することとはちょっと違う気がするんですが…。

酸化防止剤が入ってないワインは美味しいですか?
酸化防止剤が入ったワインを飲むのは、酸化したワインを飲むよりカラダに悪いんですか?
なんかね、無添加であることを無条件に支持する人たちってカルト教団の信者のように見えちゃうんですよ。言いすぎでしょうか。

ま、そもそもワインなんて嗜好品なんで他人さまの好みに口をはさむのも野暮ってものですから、それがお好きとおっしゃる方には何も申し上げませんけどね。

少なくとも私は無添加のワインなんてゼッタイに買いませんが、昔ながらの「自然派」でやってる生産者のワインはいろいろ持ってます。しかもチョーお安くておいしいのを。

今風にいえばビオ香って言うんですか?
私はウマいと思う。ウマいけど要注意なワインがあります。
そのワインは、指名されても「ハイハイ」と黙って売れません。はっきり申し上げるなら、モロに「肥やし」です。クラクラと眩暈さえ覚えます。

もの好きな方はどうぞチャレンジしてください。エコな気分には浸れます。

関連記事:Vin maison 自家製ワイン作りに挑戦

chef

24 Responses to “「自然派ワイン」のお話”

  1. 凌駕D1 2010年1月25日 at 09:23 # 返信

    初めてコメントさせて頂きます.
    いつもながら文才あふれる素晴らしい文章,楽しませて頂きました(そのまま出版出来そうですね).
    >無添加であることを無条件に支持する人たちってカルト教団の信者のように見えちゃうんですよ
    まさに同感デス.「無添加だから体にいい=美味しい」って公式が彼ら信者の頭にはあるようですが・・・何を根拠に言っているんでしょうかね.私,美味しければ店の雰囲気どうでもいい人間なんで・・・ワインも美味しければどうでも良いんですよね.目つぶったら分からない・・・・つまり「ラベルで飲む」人間のいかに多い事か・・・.「自然派だから飲む」ではなく・・・「美味しいから飲む」,これが本質だと思うのです.
    何度かお店に伺わせて頂きました,ほぼすべてシェフお一人で作られる料理,堪能させて頂きました.ちょくちょく訪問したいのはやまやまですが・・・・時間がありませぬ.シェフはとってもお忙しそうでした.どうぞお体に気をつけてご自愛ください.
    凌駕D1

  2. papaci 2010年1月26日 at 12:53 # 返信

    フレンチのプロ側の人から、ビオに関してのまともな意見を始めて聞きました。
    ビオがはやり始めの頃、試飲して「酸化してる」と言ったら、ビオのインポーターが「それもワインの一つの形です。悪いものではありません」と断言されて、「ああ、宗教だー」と思いました。
    酸化防止剤無添加ワインって、基本的にまずいもん。

  3. 西園寺 2010年1月26日 at 17:22 # 返信

    シェフ御無沙汰しております。
    久コメです。
    僕、自然派賛成派なんですけどね、其れを声に出して言うのを躊躇われる位の事にBio、オーガニックは成ってしまいましたね。
    知って飲んでいれば旨いのも有るんですけどね、
    還元香ってやつですね、僕も初め飲んだ時はびっくりしました、臭くて(笑、時間が経てば抜けるんですけどね、シェフの言われる“肥やし”はロワールのあの親子ですかね?僕は昔住んでいた近所の運河を思いだしました。一番最初に頂いたのが其れでした、完全に衝撃で逆トラウマって言うんでしょうか?
    そんな感じです、僕もオーガニックとかマクロビオティックとかって響きは何だか一生懸命体に気を使ってますよ~、って周りにアピールしてるみたいで嫌なんですよね。まぁそんな感じです。

  4. オヤジシェフ 2010年1月27日 at 10:28 # 返信

    ビオ、オーガニック、自然派…、いろんな言い方がありますが、ことさらそれを強調することはないけど、ずっと以前から実践してる生産者はたくさんおります。
    確かに玉石混淆ではありますが、一部のカリスマ生産者だけじゃなくいろんな人にスポットが当たったことはいいことだと思います。
    けどね、酸化ワインだけはどうにかしてほしいんですわ。熱劣化には神経質なのに酸化に対してはなぜか寛大なインポーターさん…。おっと、危ねぇ危ねぇ…。これ以上は書けません。

  5. しましま 2010年1月28日 at 14:33 # 返信

    本質を突いてきましたな、シェフ!

  6. パリの大江戸ちょんまげオムレツ 2010年1月29日 at 04:25 # 返信

    まいど~、
    あらあら、ワインのお話もなさるのね~!
    カシェの西野さん行ったんだってね~
    俺も早くシェフの店行きて~な~・・・・・・
    ワインね~
    質の良し悪しと言うのと
    うまいワインは違うよね~
    亜硫酸塩が入る事によって
    良い熟成になったりするものもあるからね~
    最終的には口に入るものは
    好みだね!^^
    タバコとおんなじ。
    俺は吸わないけどさ!・・・・・・

  7. 目撃者 2010年2月2日 at 13:01 # 返信

    初めまして。
    とある自然派ワイン生産者のブログにコメ入れた人のブログ記事に張ってあったURLから来ました。
    自然派ワインについて何かふに落ちない感がしてたんですが、それをズバっと書いて下さって気持ちが良かったです。
    還元香・・・はっきり言って不味いです。
    生産者はその生産方法にやたらと拘るくせに、仰るとおり酸化については寛大?ですよね。
    びっくりするような値段を付けておきながら、酸化しててお世辞にも美味しいとは言えないような代物に「これも自然派ならでは」なんて調子の良い言い訳をする。
    作る時は拘ってるのかもしれませんが、出来上がったらもう満足なご様子で、
    とある所で保存状態やら扱いの酷いのを目撃しました。
    酸化・劣化なんでもありです。
    ちゃんとお金出して買ってる信者さん達に教えてあげたい
    あんなの買うくらいなら同じ値段で普通のワインを買った方が格段に美味しい!

  8. オヤジシェフ(小心者) 2010年2月2日 at 18:10 # 返信

    脅かすのはやめてください。
    またどこかのブログに貼り付けられてコテンパンにやられてたのでしょうか。
    そうでないことを震えながら祈っております。

  9. 目撃者 2010年2月4日 at 03:33 # 返信

    申し訳ありません(・・。)ゞ脅かすつもりは・・・(汗)
    少し悩んだのですが、やはりアクセス元を明かすと面倒臭い事になるかもしれないので・・
    いやはや・・・ご勘弁下さい。
    でもURLを載せた先方は、自然派ファンのようですが客観的な見方も出来なくは無い方のようで、
    「違う意見も勉強になる」とコメントしてました。
    やはり納得のいく説得力と文章力でしょうか。
    個人的には自信を持って強気で行って頂きたい(笑)
    こんな感じで・・・宜しかったでしょうか?

  10. 凌駕D1 2010年2月5日 at 08:47 # 返信

    あはははは〜
    結構変な「ビオ&自然派」にアンチな方々いらっしゃるんですね〜.安心しました.自然派生産者の方々って,本当に頭が下がるくらい「ブドウやワインの生産にかけて」努力と手間を惜しまずにかけていらっしゃる.
    これは本当に尊敬に値しますが・・・なぜヒトが農薬や酸化防止剤を使うのか?ほっといたら虫に食われるし病気が蔓延してブドウの生育が悪くなるしワインは酸化するからです.
    ですからそれを防止してやれば良いワインは美味しいままなのにね・・・・.酸化して品質が劣化するのは個性でもなんでもなく「防止出来るはずの酸化を防止しなかっただけデハ?」.せっかく美味しく出来たワインは美味しいまま飲める様に,気を配ることも,ワインを愛する人々の義務と思います.「単なる自己満足」の自然派を止めて,もっと合理的に考えてほしい物です.必要以上の酸化防止剤の添加はもちろん反対ですよ〜.

  11. 中間 2012年1月19日 at 23:34 # 返信

    フレンチシェフからすれば、そりゃそーだろな!だって料理も沢山いろんなもんまぜてごまかしてるんだから、自然派拒否するのも無理はない・・・。
    和食と洋食の対立みたいなものかな!
    私は飲食そしてその店の雰囲気、お酒のバランスを見ている。
    そのバランスが大切だと思っている。
    そうじゃないのかい!?2竜シェフ!
    自分の意見でこれだけの意見があるのもあなたの信者なんだね!
    商売上手ですな!俺はだまされないぜ!
    なぜかって!?
    みんな自分の意見を大切にしてるからだよ!
    ごちゃごちゃ書くって事はごちゃごちゃ書かれるってことだよ!
    まあがんばってください!

  12. FRAのくま 2012年6月4日 at 18:31 # 返信

     はじめまして、ドイツに在住しているものです。「自然派ワイン」と検索したら、このブログにあたりました。少し感想を書かせて頂きます。ドイツでは「自然派ワイン」(ビオとは違うという意味で)などと言う言葉もありませんし、そんなワインに出会うのも難しい状況です。
     シェフの書かれていることの趣旨は理解できますが、どうも日本でもフランスでも「自然派ワイン」という言葉が本来曖昧な定義であるにもかかわらず、書き手によって勝手に定義され、そのうえで批判されたり、称賛されたりしているようです。ご指摘の通り、日本では一部カルト的に過剰評価されているワインもあるようですね。しかし、たまにフランスにいって、人にきいたり、自分で探したりして、おいしいレストランを探した経験からいわせてもらえれば、当たりのレストランには必ず、ビオ系の栽培法、醸造過程での亜硫酸無添加(瓶詰め時に少量添加は造りによってそれぞれ)のワイン(自然派?)がオンリストされているというのが現状ですし、この傾向はますます顕著になってきたと感じます。しかし、日本のようにカルト的な趣味からでなく、本当にそのレストランに食べに来る人がそこの料理にあわせて、おいしいと思うワインとして定着しているという感があります。
     また、時々、フランスのワインの作り手の所の行って、直接に話を聞いて、この手のワインを買うことがありますが、彼らの中でも「自然派」という言葉に対する反応は様々で、「自然派」という言葉はきらいで「自由なワイン」と呼んで欲しいという人までいました。また、還元臭や酸化などにたいしても積極的に対処し、取り除くよう努力している造り手がほとんどで、還元臭などは最近とみに少なくなってきているのが事実です。
     また、シェフのいわれる「昔ながらの「自然派」でやってる」かまたはそれを理想とする生産者ほど幅広い指示を集めている様な気がします。
     長々と書きましたが、シェフはこう書かれています。『「自然派ワイン」のすべてがマズイと言ってるわけではありません。おいしいワインはたくさんあります。』 まったくその通りだと思います。しかし、無添加のワインにもおいしいワインはたくさんありますし、その裏には、確固たるワインに対する哲学と途方もない労力があることも忘れてはならないと思います。素人がすさびで造るものとは決して比べられません。彼らにとっては無添加はおいしいワインを造る手段の一つなのです。
     

  13. 脇坂尚 2012年6月5日 at 01:20 # 返信

    ご意見をお寄せいただきありがとうございました。
    私はあなたのコメントを何度も読み返しました。
    抑制の効いた文章ながら、私へのご批判であることは理解しました。
    本文でも申し上げました通り、また、あなたがご指摘された通り「自然派」の定義はいまだ曖昧なままですね。すでに東京ではあまり聞かなくなってきたように私は感じています。
    他の方のコメントにあるような、酸化を「これもワインの自然な姿」と強弁するようなインポーターはもういないでしょう。
    この稿で私が申し上げたことは「酸化したワインは正常な状態ではない」ということに収れんされるものと思っております。
    あなたのご意見もおそらく同じと思うのですがいかがでしょう。
    ここで「酸化熟成」というようなテーマは持ち出さないでください。
    「無添加ワインは現地で飲んでこそその真価がわかる」という意見がたくさんあることもご存じと思います。
    酸化防止剤を添加しないワインが数週間の船便輸送に耐えうるか否かをを検証した生産者のものだけが輸入されているわけではないこともご存知ですか?
    ドイツにお住まいで、フランスへもワインを買いに出かけられるあなたは日本で手に入るワインのコンディションについても欧州と同じと思われてはいませんか?
    できれば直接議論したいですね。
    ここは公開の場ですから、ストレートなご意見は言いにくいでしょう。直メでどうぞ。
    私ももっと突っ込んだ意見を申し上げますから。

  14. 脇坂尚 2012年6月5日 at 01:30 # 返信

    申しそびれました。
    右のサイドバーから「Liste des vins」をご覧ください。
    いわゆる「自然派」生産者のものもありますよ。無添加ではありませんが。

  15. FRAのくま 2012年6月14日 at 22:24 # 返信

    脇坂シェフ
     通りすがりに、コメントを書いておきながら、ながらくこのサイトを見ていませんでした。私のまとまりのないコメントに大変丁寧なご返事を頂いてありがとうございます。
     私も自分の書いた文章と脇坂さんの文章をじっくり読みかえしてみました。そのうえで、いくつかの点について、まとまりは相変わらずないですが、私の考えを書かせて頂きます。
     あっ、その前に、私には公開の場で言いにくいことなどいささかもありませんし、お気遣いはありがたいのですか、なぜ、そのような事を気にしないといけないか不可解です。それどころか、議論は公開の場でしてこそ双方にとって、また、議論の場に居合せるすべての人にとって意義があるものと思っています。何か、日本にはワインの世界にも”原子力村”と同じく、言いたいことが言えない”空気”が支配しているのでしょうか?
     わき道に逸れ過ぎました、本題に入ります、あなたと私の考えが一致する点は、≪「自然派ワイン」のすべてがマズイと言ってるわけではありません。おいしいワインはたくさんあります。≫というところだと思います。一方、酸化防止剤=亜硫酸の添加に対する評価、と「酸化」をすべてネガティブにとらえる(この点ははひょっとしたら、言葉の定義の食い違いかもしれません)という点に関して、意見の相違がかなりあるように思います。
     まず最初の点に関してですが、私は、人為的な亜硫酸の添加がワインのテイストにネガティブな影響を与えるものと考える造り手を本当の自然派?として支持しています。別の点からいえば、せっかく有機栽培等で苦労してブドウをつくっても、醸造過程で大量の亜硫酸を添加したのでは果実のポテンシャルからくる旨みをすべて殺してしまい、畑での努力を無にしてしまうと考えています。残念ながら、ドイツにはこの手のおいしくないワインが「ビオ」を売りにしてたくさん出回っています。
    ただし、完全無添加は目標であっても、無添加でも添加ワインと同程度に劣化しないワインを造ることは一朝一夕に出来ることではないことも理解しています。ですから、まともな造り手は瓶詰過程で少量(これも人によって量は様々)添加することで劣化を防止することから始めて、だんだんに畑での仕事や醸造法を工夫し、果実の劣化耐用度をあげていき、最終的に納得がいくレベルに達したと判断した段階で無添加に切り替えるという過程を踏んでいるケースがほとんどだと思います。なぜ、そこまで膨大な努力(ワインの価格には転嫁できない)をしてまで無添加を目指すのでしょうか。私も初めはそこまでしても世の評価は様々なのになぜと思いましたが、答えは単純、そのほうがワインがおいしくなると確信しているからなのです。(彼らにとっても、亜硫酸に関しては、人体の健康に与える影響うんぬんは二次的なことのようです。)そこで気付いたのですが、シェフも≫出来たての手作りワインは(どの段階で「出来たて」なのかは微妙ですが)フレッシュで自分でもびっくりするくらいおいしかったんですが、当然酸化防止剤なんか入れませんから≪とおっしゃっていますね。彼らも同じことに気が付いたのだと思うのです。ただ、彼らはそこにとどまらず、ただの実験からまっとうに市場に出せるようなワインにするまで膨大な労力と時間かけた結果生まれたのが彼ら(まっとうな無添加)のワインであると思います。
    また、別の視点からのことですが、地中に存在する様々な抗酸化物質をうまく吸い上げた果実から造ったワインには亜硫酸等が自然に含まれていることはご存じのことと思います。釈迦に説法でしょうが、日本には酸化防止剤無添加のワインは法的に輸入できませんが、実際には無添加のワインが輸入できるのは、人為的に添加しなくてもそのようなワインの中にはちゃんと亜硫酸が少量でも自然に含有されているから「添加」と書けるからですよね。ただし、いわゆる無添加のワインがすべて劣化防止に成功しているかといえば、そうではないのは事実です。そんなワインを市場に出すのはあなたの言われる通り論外だと思いますし、そんなものをおいしいと飲むのは(オをつけてもよいかも)カルト的だと思います。言葉を換えれば、まっとうな無添加ワインは酸化防止剤は一切無添加ではあるけれど、酸化防止はちゃんと別の手段(還元臭の元となる還元環境もその一つ)で行っているのです。
    さて、「酸化」に関してですが、私は酸化の末にただの酢酸と化した物質をワインとはよべないと思いますし、この点ではあなたと考え方の相違はないのだろうと思います。また、そのようなものを「これもワインの自然な姿」とインポーターが強弁するようなことはとんでもないことだと思います。しかし、それはインポーターの問題であって造り手の問題ではないと思います。私の知っている範囲でのことですが、まっとうな造り手は自分のワインがどのような状態で飲まれているのかを気にしていますし、飲み手の意見をききたいと思っていますし、まともな意見には真摯に耳を傾けると思います。また、まっとうなインポーターなら飲み手の意見をきちんと造り手に伝えるのは当たり前と考えるはずで、そのようなインポーターを私は知っています。また、あなたの御質問の中にあるにある≫ワインが数週間の船便輸送に耐えうるか否かをを検証した生産者のものだけが輸入されているわけではないこと≪というのは、無添加ワイン、ひいては自然派?ワインだけに言えることではなく、すべてのワインに当てはまることであるとおもいます。技術的にはどんなワインでも生産地で飲むのとほぼ同じ状態で日本に持ってくることは可能だと思います。したがって、このことはインポーターや売り手の姿勢如何によることだと思います。私は1年に一度は日本に帰りますし、最近2,3年はかなり長期に日本に滞在しておりましたので、日本でもそんなに多くはないですがワインを飲む機会もあります。その経験からだけの印象ですが、ご質問にもありましたが、一般的なワインのコンディションに関しては、良し悪しは売り手の姿勢如何で決まると思いますし、このことは生産地の国で飲んでも同じだと持っています。フランスのレストランでも何度かワインが明らかに劣化の限度を超えていると判断し訴えて、取り換えてもらった経験がありますし、日本でも脇坂シェフのような厳しい姿勢でワインを扱っていらっしゃるレストランでは安心して注文できると思います。(リストを見せて頂きました。品揃えの見識とまっとうな値段付けに敬服しました。)また、「無添加ワインは現地で飲んでこそその真価がわかる」との意見は理解できますが、その理由はワインそのものの味にあるのではなく、環境によるものであるということは、経験上かなりの確信を持って真実であると思います。ですから、この点はインポーター批判が造り手(ワインそのもの)批判と混同されないように論じる必要があるのではないでしょうか。また、劣化したまずいワインを「まずい」と言えない環境があるとするならば、それは、日本特有の社会的な問題のような気がします。そうであるならば、やはり作り手やワインそのもののとは全く関係のないことでありましょう。繰り返しになりますが、あえて無添加でワインを造ろうとするような繰り手は「まずい」ものをはっきり「まずい」というような率直な意見を待っていますし、「まずい」といわれるのなら「うまい」といわれるように改善する努力をおしまないはずです、現に還元臭やいわゆる酸化過多による劣化に関してはここ何年かで著しく改善されてきたものが多いのは事実です。その裏にはヨーロッパ人の自由で率直な議論を大切にする気質があると思います。「自然派」と呼ばずに「自由なワイン Vins Libres」と呼んでくれといった造り手たちがいいたいのもそのようなことではないかと思います。
    かなり脱線してしましたが、シェフは酸化ということを即ネガティブに捕えられているように思えますが、私も以前はそう考えていました、でも、これも釈迦に説法かもしれませんが、ワイン、いやブドウは収穫したとたんから酸化が始まります。従って、酸化=劣化ではないはずです。最近、フランスのジュラに友人が引っ越したので、ジュラに行く機会があるのですが、ジュラにはシェフもご存じのヴァン・ジョーヌという意図的に酸化させることによって普通の白ワインなら劣化と間違えそうなシェリーのような風味のかなり高価なワインがありますよね。でも、実はジュラでは、普通の地元品種のサヴァニャンでつくる白ワインも酸化させてシェリー風味に仕立てます。これが、地元の乳製品を使った料理にとっても合っておいしいのですが、私も最初は戸惑いました。その後、友人のアルザスの造り手を訪ねたとき、新しい試みといって、かれの畑で一番いいグランクリュの区画のリースリングをヴァン・ジョーヌのように仕立てたのを造ったと飲ませてもらったら、これはこれでおいしいと思えるのです。そして、それらの経験がきっかけとなって、酸化とはなにかと考え始めたのです。
     シェフは、「酸化したワインは正常な状態ではない」と言われていますが、正常でない状態とはどういう状態なのでしょうか? 
    揚げ足取りとは思わないでください、私自身もシェフの文章を読み返させてもらっって「待てよ」と考えているところなのです。酸化防止とはこの酸化の過程をできるだけ緩慢にすることであって、酸化を止めることはできません。「酸化熟成」なんてテーマにするなと言われますが、そもそも熟成とは酸化の過程の一つ以外の何物でもないのではないでしょうか。最近はとんと御無沙汰していますがボルドーやブルゴーニュの中身の真価の何倍もするワインが熟成するというのも、考えてみれば緩慢な酸化ですよね。この酸化過程のどこまでの進捗レベルを飲む人が「うまい」と判断するか「まずい」と不快に思う(劣化)かは実は主観的なもので、例えば化学反応値で何度などと数値化できるものでもないものなのではないでしょうか。つまり、ワインの酸化の度合いにおける優劣の判断には無添加、添加に限らず個人差があるものではないでしょうか。そうだとすれば、ある人が劣化したとんでもないワインだと判断した同じものを別の人はよく熟成が進んだおいしいワインと判断する酸化過程のある範囲(全範囲とは言ってません。誤解なく)存在することになります。自然派?ワインにはこの範囲のまんなかに入ってくるものが多いようにおもいます。誤解しないでいただきたいのですが、私にもこれは絶対に劣化していて買った価格の価値はないと判断する範囲(範囲外?)はあります。
    でも、「酸化したワインは正常な状態ではない」と思いますかと問われれば、すぐにYesとは答えられません。その人と何度かいろいろなワインを飲んでみるとか、せめて具体的にこのワインはどうかと問われるとかでないと答えられないほど酸化という概念は良し悪しの価値には中立的であると思います。でも、これって結構本質的なことのように思います。つまり、無添加ワインを賛成派か反対派かでこの範囲が最初から違っていて、酸化という言葉そのものの定義もずれたまま対立意見の応酬の繰り返しになっているのなら不毛なことのように思います。ただし、売り手が勝手にこれが「おいしいのだ」と強弁して飲み手の言うことに取り合わないというのは論外です。
    結論にはなりませんが、脇坂シェフの文章を読み返して一番気になるのは、いわゆる自然派?ワインを亜硫酸無添加かどうかで線引きして良し悪しの判断をされているような印象を受けるところです。私はこの線引きは意味がないと思います。また、シェフの言われる「酸化」(ワインの劣化)は添加ワインにでも起こることでこれにクレームをつけるかどうという問題は無添加ワインとは関係のない事柄だと思います。インポーターの件についてはまっとうでないインポーターのワインは買わないことに尽きるのではないでしょうか。
    長くなってすみません、議論をもっと有意義なするための提案ですが、ワインを自然派だとか無添加、添加であるとか抽象的な括りで議論してもあまり実りはないように思います。具体的にこのワインをどう思うかで話をした方が実り多いのではないかという印象を持ちました。シェフがこれは絶対お勧めといわれるワインは飲んでみたいと思います。ただし、懐具合はあまり暖かいとはいえないので手の出ない値段のものはご勘弁ください。

  16. 脇坂尚 2012年6月15日 at 10:12 # 返信

    いやはや。
    あなたのワインに対する情熱は私だけでなくここを訪れた人皆に十分に伝わったことでしょう。
    私の言葉が足りなかったせいで、真意が十分に伝わっていない部分があるようですし、あなたのご意見の中にも検証を待たなくてはならない部分もあるように思いますが、それはちょっと置きます。
    ここは私が開設している一レストランシェフの個人ブログです。ワインだけをテーマに扱うものではありません。
    このように長文の意見表明をされるにあたって、個人ブログのコメント欄で展開するのはそぐわないと私は感じますし、読む人に負担をかけるものとは思いませんか?

  17. FRAのくま 2012年6月15日 at 15:51 # 返信

    脇坂シェフ
    御返答ありがとうございます。私の情熱などあえて無添加でワインを造ろうとする人たちの情熱に比べれば恥ずかしいくらい微々たるものです。
     御趣旨了解しました。ついコメントが長くなったことは反省しています。しかし、前に書きましたが、私は議論は公開の場ですべきだと思いますので、何らかの理由で公開を忌避されるのであれば、それはちょっと如何なものかと思います。
     しかしながら、ここはシェフのブログなので、シェフのご意思を尊重したいと思います。

  18. 西園寺 2012年6月24日 at 22:51 # 返信

    いつもこの手の論議に成ると息苦しいっす。見てるだけでも疲れます(じゃあ見なきゃ良いんですけどね)(笑、僕は最終的に旨いか?そうでないか?で判断します。其れを提供する方は美味しいと思ってらっしゃると思いますから。チョイスする権利は其れを欲する方自らに在るのだから。生意気言ってスミマセン。只ワインも食事も楽しいのが一番です。

  19. FRAのくま 2012年6月26日 at 16:10 # 返信

    西園寺さん
    議論の中身を批判することは大いに歓迎しますが、「息苦しい」などという情緒的な言葉で水をぶっかけるようなことはいかがなものでしょうか。日本的な仲間内だけの話なら相手も意味を理解出来るのでしょうが、私には意味不明です。
     私も無添加ワインも含めて、常日頃、ワインと食事を、また議論も、大いに楽しんでいます。

  20. 西園寺 2012年6月27日 at 10:54 # 返信

    そうなんだ。
    失礼しました。

  21. オヤジシェフ 2012年6月30日 at 08:53 # 返信

    「いいね!」ボタンがないので。
    ↑ いいね!

  22. さわら 2012年8月3日 at 21:20 # 返信

    脇坂さん
    興味深くブログ、お二人(脇坂さんとFRAのくまさん)のやりとり拝見させていただきました。
    今度食事に伺おうと考えていた矢先、こちらのブログを拝見いたしました。
    業界(飲食、ワイン)外に身を置く、一介の外食好きとしては業界内の方の率直なブログでの意見やお二人のやりとりは興味深く、自身のワインの知識を広げるだけでなく様々な立場の方の考えを知る意義のあるものでした。
    ただ、最後までお二人の議論を進めていただきたかったですし、
    >私の言葉が足りなかったせいで、真意が十分に伝わっていない部分があるようですし、あなたのご意見の中にも検証を待たなくてはならない部分もあるように思いますが、それはちょっと置きます。
    とありますように、中断してしまって仰られなかった脇坂さんの考えが気になりました。
    お忙しいとは存じますが、ご意見を聞かせていただきませんでしょうか。

  23. オヤジシェフ 2012年8月4日 at 09:25 # 返信

    さわらさま(←ひょっとしてしゅうせいさん?)
    えーと、中断してはおりますが、議論は継続してます。
    ただあまりに長文のやり取りはここではちょっと見苦しいかな、と。
    また折を見てご報告いたします。

  24. えん 2012年8月30日 at 21:40 # 返信

    ここはブログであって、一定の着地点を見出す必要のない場だと思います。
    つまり、ブログ主の考えが表明されているだけで構わない、と。いや、そういうものでしょう、そもそもブログというのは。
    むろん、いちいち着地点を明確にしたいブログ主もあってよいとも思います。
    ちなみに私は、ここ最近はビオワインの完成度が高くなってると感じてます。
    外れに出会う頻度が格段に減ってます。

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